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GPZ900R 2000-07
エンジン失火トラブル

それは三軒茶屋を過ぎた246号線上で発生した。
土曜日の朝4時、車もそんなに多くはなく気温も25度は越えているものの30度にはまだ達していない状況で信号待ちの状態から発信して1速、2速、3速シフトアップし、タコメーターの回転は5000rpmあたりに達したところで
「パシュン!」
サイレンサーから音が出たと同時に車体がガクリと一瞬だが失速した。
「??」と思い、アクセルを一瞬戻してタコメーターの針を見ると4000rpm、特におかしい様子はない。
再度アクセルを開けて加速しようとすると「パシュン!」再び音がした。
アクセルを戻し、タコメーターの針を見ながらアクセルを再び開けるとスッ…と一瞬だけタコの針が落ちて失火していた。
車道の端へ忍者を寄せて止まり、プラグキャップおよびヒューズボックス関係を簡単に確認するが異常は見られない。
セルを回すとエンジンは通常通り始動するのでUターンして家路へ向かったが、家に近くずくにつれ失火は激しくなり、しまいにはアイドリングでも回転がストールし、エンジンが止まってしまった。
だましだまし忍者を走らせ、なんとか家に戻り電装系の接触不良が無いかコネクタまわりを確認するが異常は見られず、プラグも外してみたが特に問題は発見できなかった。
それでもとプラグは新品を用意して4本とも交換し、プラグ周りの関係配線のコネクタを抜いて接点の確認をして試走してみたが、結果は変わらずで走り始めた直後は正常に走るが、時間が経つと失火が出てくる傾向が強いと言えた。

翌週から色々調べたりテスト走行したりした結論から先に言うと、失火の原因となった部品はイグナイタ本体だった。
サービスマニュアルの回路図から配線をたどり、バッテリーおよびジェネレータからプラグまでの経路を総チェックしたが、幾つかの条件でイグナイタ本体を原因として仮定。

仮定の根拠として
・エンジンが冷えている時点では失火が発生しない

・走行テスト時、エンジンを始動してから約30分程度で症状が出るという一定した時間

・一度、失火の症状が出ても、エンジン停止を一定の時間行うと一時的に回復する
  →エンジンからの熱が原因に絡むと考えられ、しかもエンジン内部より外部

・配線上の問題(断線など)であれば走行開始からの時間に関係なく失火が出るはず
  →振動で接触不良の線は無いと想定できる

・失火するときはタコメーターの針も連動して落ちている
  →機械的な原因より、火花の発生源そのものに近い箇所が原因と思われる

・回路図上、唯一の完全ブラックボックス箇所である
  →ジェネレータよりも複雑な構成、かつ、唯一の無接点回路構成パーツ

の5点が頭の中にあった。

サイフには厳しかったが最も怪しいイグナイタを新品パーツで取り寄せ交換し、確認として症状が発生した曜日・時刻で同じルートを辿り、最初に失火を確認した場所を無事クリア。
トラブル発生時に失火が激しくてUターンした箇所も無事に通過し、結局、箱根までサクサクとたどり着き都内に帰宅するまでトラブルは発生しなかった。

考えられる原因としては、イグナイタの位置がエアクリーナーボックス上にあり、エンジンからの熱を受けやすいことから、走行開始後(エンジン始動後)にエンジンの熱を受けていた。
エンジンの熱を受けたイグナイタ内部の電子部品が熱劣化に似た(要は不良品となっていたパーツありってこと)症状を起こし、点火系のコントロールを司る機能に障害が発生、失火となる。
走行が困難になり、停車をして一定時間放置するとイグナイタの温度が若干下がり、次の熱が蓄積されるまでの時間分だけ失火を押さえて走行可能。(当然、冷め切っていないエンジンとイグナイタなのですぐに失火が始まる)
イグナイタ自体はモールド加工されているので内部構成パーツまで調べることができないし私にはその電気的知識も無い、運悪くイグナイタが不良品になりやすい車体を買ったと言うことで割り切って不良イグナイタはさっさと廃棄した。

今回トラブルの原因となった「イグナイタ」本体
GPZ900Rの場合は年式によって値段が大きく変わる。
A12は幸いにも安い部類だった。