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RZ250のウインカーをLED化

【注意】
この情報で改造を行うときは個人の責任の範疇で行ってください。
(責任持ちませんし、持てません。)


RZ250は製造から年月が経過したせいか、ヘッドライトの点灯有無でウインカーの点滅が変化する。
最初はバッテリーの劣化だと思っていたが、ポータブルバッテリーから12Vを流してみても変化は見られないので配線全体の劣化も関係しているようだ。
本来なら根本原因の除去という観点からハーネス含めて電装系そのものを見直すべきだが、テールバルブをLED化したのに続き面白そうなのでウインカーもLED化してみた。

【※】最初にRZ250を入手した1987年の記憶だとヘッドライト点灯したままのウインカー点灯は走行時もアイドリング時も問題なく動作していたのでハーネス交換やステータコイルの交換など適切な処置を行うことで問題は解決されるはず、単に趣味でやってみたいという理由だったと書き足しておく。


■ウインカーをLED化するのに必要な要素

必要なのは2点、フィラメントの代わりにLEDを使用したウインカー球、次にIC式ウインカーリレーだ。
LED球は当然としてIC式ウインカーリレーがなぜ必要なのかと思う人がいるかもしれないが、それなりに理由がある。
純正のウインカーリレーは電球(フィラメント球)の消費電力が存在することを前提として設計されたものなので、消費電力が少ないLEDを接続した場合は点滅間隔が以上に短くなってハイフラッシャー状態となってしまう。
前後どちらかのウインカー電球が切れたときに点滅が早くなった経験は無いだろうか?
LEDは電球1個の消費電力よりも少ないので更に点滅間隔が短くなってしまい使えたものではない。
リレーをIC式にするのは点滅間隔を電球側の消費電力でコントロールするのではなく、リレー回路側で点滅間隔をコントロールできるからとなる。
IC式以外にもトランジスタを組み合わせたマルチバイブレータ回路や、単純にコンデンサを別系統で持たせてマグネットリレーをON/OFFさせる方法などもあるのだが、電圧の影響を受けにくく簡単に出来るものということでIC式となる。(そのICも中身はトランジスタの集合体という概念でしかないが…)


LED球の製作 (2004.09〜2005.04)

LED化の検討を始めた当時、市販品に使える製品が無いか調べてみたがRZ250に適合しそうな品が見つけられず自作することにした。
RZ250の純正ウインカーは他車種と比べて面積が広いタイプと言える。
この大きなウインカーレンズに見合ったLEDの配置を考えたが、最初はウインカーレンズと同じ面積の基板を用意して5φ砲弾型LEDを並べて光らせる方法を考えていた。
しかし、その方法だと走行中の振動に耐えられるだけの確実な固定方法が実現できるかという課題に対して現実的な手法を思いつかず、また、ベーク板をウインカーボディの円形に合わせて綺麗に加工できるかという技術的な問題もあった。



テスト用LED球の製作

LED球が作成されていないとウインカーリレーのテストも出来ないということで、性能的に大きな期待は出来ないがLED化のテスト用として5φLEDを16個(4個×4列)並べた電球ソケット一体型のLED球を作成した。
LEDは試験用ということもあって明るさよりも値段で選んだ。
もっと高輝度なLEDもあったが、ICウインカーリレーの目処がたっていなかったことからLED化に成功するかどうか判断できず、途中でやめても良いように安い品で済まそうという閑雅からだった。(色についてはGPZ900RでLEDテールランプを製作した時の経験で着色されたレンズには同じ色のLEDが妥当ということから橙色LEDを選んだ。)
点灯試験では予想された通りウインカーレンズの面積に対してLEDの数が少ないことによって中央部のみに光が集中するのが確認された。


東芝 TLOE180AP

千石電商で100個2,900円の品だった。
Luminous Intensity:3500mCD (1.95V/20mA)
Voltage:Forward 1.95V (Max 2.4V)
Viewing Angle:8dig.
Power Dissipation:125mW
Wavelength:605〜612nm


蛇の目基板で製作した試作品

基板はGPZ900RのLEDテールランプの試作品を更に再利用。
電流制限は試作品ということもあって定電流ダイオードで代用している。
15mAしか流せていないので明るさはそれなりだ。


プリント基板で製作したテスト用LED球(表)

電流制限はセラミック抵抗に置き換えた。
基板はベーク板、これを4個作成してICウインカーリレーの動作確認用として使用した。


プリント基板で製作したテスト用LED球(裏)

手持ちの余っていたサンハヤト感光基板を使用している。
テスト用ではあるがトラブル発生時の確認用など今後も世話になると思い、製作工程は手を抜かずに普通に行っているのでフラックス塗布まで行った。


照射試験中のテスト用LED球

LEDの特性で中央部のみが光を発する結果になった。
ウインカーレンズ外周部は光が届いていないので沈黙したままだ。


RZ250のウインカーへ装着したテスト用LED球

フィラメント球と同じように脱着可能となっている関係で基板サイズはこれが限界となる。
試射の結果では正面方向にしか光が出ていかないのでウインカー全体が光るように見せるにはウインカーレンズと同面積の基板が必要だ。


ウインカーリレーの試作テストはこの5φLEDを使用したLED球で行ったが、ICウインカーリレーがRZ250で正常動作するようになった翌月にウインカーレンズ中央部しか光らないLED球への対策として次のLED球の製作にとりかかる。
また、この時点で法令的に「ウインカー全体の形がわかるように」という趣旨の定義があることを知り、ウインカーレンズ全体が光るようなLEDの配置を試行錯誤し始める。


LEDの再選定

それまでのLED球の欠点であった「光量不足」を解決するために選んだのはLumileds社のSuperFluxLED [HPWT-ML00-E4000](アンバー色)、 2.0〜4.8ルーメンの明るさを持ち、指向特性70度という広角タイプ、電圧・電流が2.6V/70mA(MAX)という今までのLEDよりも電流を必要とするが、指向特性70度のスペックはウインカー用LEDの素材としては最適とも言える。
とりあえずのサンプルとして20個をオーディオQより取り寄せてウインカー1個分のテスト用LED球の製作に入った。


Lumileds - Super Flux LED [HPWT-ML00-E4000]
・ 色: アンバー (594nm)
・ 光束: 2.0〜4.8ルーメン
・ 電圧/電流: 2.6V/70mA(MAX)
・ 最大電力: 221mW
・ 指向特性: 70度
・ 大きさ: 7.6×7.6mm

まず既存の5φLEDが搭載されていた蛇の目基板のテスト用LED球を使って砲弾型LEDからSuperFluxLEDへの入れ替えを行ってみる。
砲弾型LEDの足が2本に対してSuperFluxLEDは4本だが、既存のLEDは隙間を設けて配置していた為にテスト基板へ同じ数のSuperFluxLEDが搭載できた。
試験的に点灯させてみると今までのLEDより確実に明るく点灯するのが確認されたが、ウインカーレンズ全体に光が届いていないと思われる光量だ。
今回のLED再選定中に知りえたのが、法令としてウインカーの点灯時はウインカーの形状が判別できるようになっていなければならないらしい。
テスト用に製作した砲弾型LEDのLED球では中央部が光るのみでウインカーの形状まで判別出来ていたかと問われれば苦しい回答になるだろう。
今回のテーマには明るさアップとウインカー形状の判別が可能なことの2点があるので、このままではダメだ。

ウインカーの形状を認識させる要素というのを考えてみたが、背面方向にも光を照射させてウインカー内部で反射させてウインカーレンズに光を届かせるしかないと思われた。
そこで基板の裏側にSuperFluxLEDを平面的に4個配置して点灯させてみると、基板の背後で何かが光を発しているように見えるのは確認できたがウインカーレンズまで十分に光が届いている状態ではなかった。
次に背面のLEDに角度をつけて斜め後ろ方向へ光が照射されるようにしたところ、光に斑があるものの背後から光が供給されているのが確認された。
この方向性でLEDを増やしていけば電球と同等の認識になるだろうと思われたが一つだけ気になるのは光の斑、光源とウインカーボディが近すぎるのか均一に反射してくれず、LEDの密度を上げるか距離を離すかのどちらかで対応するしかないと思われる。
また、基板背面の光量がアップすると今度は基板そのものが影になってしまうという懸念も浮上してきた。


LED装着方法の変更

ここで考えを変えて基板に装着するスタイルからLEDの角度を自由に調整可能な方法が無いか考えたが、実行に移したのは空中配線によってLEDそのものをフレームとする方法だった。
走行中の振動などを考えるとLEDのフレームだけでは強度が足りないと思われたので、絶縁も兼ねてホットメルトによる補強を行った。
最初はホットメルトを大量に使用した自重でソケット部からもぎれてしまうのではないかと思ったが杞憂に終わった。
この方法の欠点はホットメルトを流し込んでしまうと配線の変更やLEDの交換が物凄く面倒になるということだろう。
LEDと言えど所詮は一般小売レベルの品質でしかなく、半永久的に使えるといっても歩留まりというものがあるので幾つかは早い時期に寿命を向かえてしまうからだ。
プリント基板に実装する形式であれば単体交換も可能だが、この方法に限っては点灯不良が発生した場合にはLED球そのものを交換するつもりで割り切るしかない。

空中配線で試作したLED球は前面に角度を変えつつ3個×3列、背面に角度を付けて2個、車体横方向に向けて2個配置した13個構成で組んだ。
電流制限はセラミック抵抗を14V/70mAとなる値に近いものを使用し、前面3列/背面/横と別々の系統で配線して計5系統の配線となった。
中央には電球ソケットの+線から伸びる配線があり、無駄かもしれないが5系統の金属配線をまとめてフレームの核となるようにして少しでも強度が上がるようにした。
次はホットメルトを流し込んで…と行きたいところだが、この段階で点灯試験を行っておかないと修正も出来なくなるので点灯確認を実施。
LEDの個数が異なるので前面と背面/横で制限抵抗の値が違っているが、点灯試験の限りでは無視できる差でしかないのでホットメルト流し込みに移る。
電球ソケットの根元からホットメルトを流し込み、少し冷えたところで次のホットメルトを流し込むのを繰り返し、数回に分けて作業した結果サンプル球が出来た。
一晩放置して完全に冷え切ったところで長時間の通電試験を実施する。
これは制限抵抗の熱や僅かながらもLEDが熱を持つかもしれないので、その熱の蓄積でホットメルトが溶け出してしまう、もしくは柔らかくなってしまわないかの確認だ。
用途が常時点灯のポジション無しのウインカーバルブとして使われるので1時間などの長時間点灯は必要ないが、5分ほど点灯させて問題ないのを確認して完成となった。

RZ250に装着して5φ砲弾型LEDとの比較テストを行ったが、SuperFluxLEDを使用したLED球は5φ砲弾型使用のLED球が相手にならないくらいに明るいことが判明した。
特に改善点の一つであった斜め方向からの認識は横に配置した2個のLEDが効果を発揮して問題ないレベルで認識できていると思われる。(この段階では直射日光下での確認を行っていないので想像レベルまでだった。)


LED球の比較(左がTLOE180AP、右がSuperFlux LED)



本製作

テスト球で問題なかったことからオーディオQへ追加のLEDを発注し、本製作に入る。
本番のLED球では少しだけ欲を出して前面のLEDのみ3個×3列から4個×3列と少しだけLEDの数を増やした。
また、前面のLEDが4個体制となったので背面および横のLEDも配線を1本に統一して4系統の配線に変更、これによって4本とも同じ1/4W抵抗が使用できることになり手持ちのセラミック抵抗でカバーできることにもなった。(1/2Wは流石に手持ちが無い)
前面のLEDが4個になったので作成の手順は前面2個だけを最初にハンダ付けしてからとなったが配線が1系統減ったので配線の手間は楽になった。


まず2個を直列につなぐ。
接続は余ったリード線で端子間をハンダするが、断線も考慮して2本をきっちりと行う。
この2個のLEDがウインカー正面となる。

次に両脇の斜め角度LEDをハンダ付けする。
これは短くした足同士をそのまま付けるだけだ。
角度はなるべく一定が望ましいので気を遣うところでもある。
1個のLED球で3列を作る。

正面用にのLEDを3列作るが、ほぼ同じ角度であることに注意する。
固定および強化はホットメルトで行うので多少の誤差は吸収可能。
ウインカーとしての機能は前面部分が重要になるので正面の6個は特に慎重に作業する。

正面用LEDのGND配線を行った状態。
配線がフレーム化の要素を兼ねているのでハンダ付けはしっかり行う。
このパーツが主体となってLEDの空中配線を構成する。

正面のLED3列分ができたら背面と横のLEDを製作し、結合する。
この背面と横のLEDは足を切らずにハンダ付けした。
併せて制限抵抗の取り付けも行ってしまう。
背面および横のLEDは連結させて4個構成としたので制限抵抗は1個で良い。

横方向のLEDと背面用のLEDの装着では、背面用のLEDを先に取り付ける。
取り付け場所は正面用のLED用に取り付けた制限抵抗3本のうち、中央の抵抗の足に背面用LEDの制限抵抗の足をつける。
面倒であれば縦に延びている抵抗の足に取り付けても良いが無関係の他の足に接触してブリッジさせないよう注意。

空中配線が完了して完成一歩手前の状態。
あとはホットメルトを流しこむだけだが、ホットメルトを流し込んでしまうと修正が面倒なので、点灯試験をこの段階で行っておく。

完成したLED球

このLED球は2005年5月から装着しているが、2009年12月の点検で左前のLED球に1系統のチラつく点灯不良が確認された。
残り3個のLED球に異常は見受けられなかったので耐久性としては上々な部類だろう。
チラつきが配線の断線なのかLED素子の不良なのかは分解しなければ判明しないが、少なくとも空中配線+ホットメルトの組み合わせは問題なかった。

点灯試験

同じ手順でLED球を4個同時に製作し、晴れた休日に直射日光下での点灯試験を行った。
正面(後方)はウインカーレンズの中央部が集光レンズとなっている為に直射日光下で100m離れても確実に認識できた。(これが最低のラインだと思うので認識できなければアウトだが…)
懸案の斜め角度からの認識は5φ砲弾型LEDでは認識できなかったがSuperFluxLEDではフィラメント球と同じレベルで認識できた。
LEDの配置を色々考えているときに出たアイデアで予算と手間の関係で実施しなかったものにSuperFluxLEDを円柱のようにつなげてしまい可能な限り数を増やすというのもあったが、今回に限って言えばそこまで必要なかったようだ。

直射日光下の条件でも肉眼で確認できたことからLED球の製作はひとまず終了。
今後、更に明るくて消費電力・発熱が少ない小型LEDが手軽に入手可能になった時点で再検討したいと思う。


フィラメント球とSuperFluxLED球との比較

左がフィラメント球(23W)、右がSuperFluxLED球。
デジタルカメラで撮影したのでフィラメント球がもの凄く明るいように見えるが、肉眼では両方とも同じような明るさに見えていた。
電球とLEDの発光特性の差だと思われる。


直射日光下のLED球比較

左がTLOE180APを使用したテスト用LED球、右がSuperFlux LED球。
ハザードで左右とも点灯している状態の画像だが、TLOE180APの光は認識できない位に弱々しい。
SuperFluxLEDの光は直射日光下でも認識可能だ。
(デジタルカメラの露出がRZの白い部分に合ってしまったのでLEDの光は弱々しく見えるが、肉眼でははっきりと認識できる光りかただったのを補足しておく)




リレー回路の製作 (2004.09〜2005.04)

今回のLED化ではリレー回路の製作に時間がかかってしまい着手から完成までに半年を要した。
リレー回路の製作はLED基板製作直後に着手しており、最初に考えたのはトランジスタを2個使用したマルチバイブレータ回路だったが、点滅サイクルの調整含めて部品定数を考えるのが面倒だったのでオーディオQのキット LF-002B「LED点滅回路」を購入して手を抜こうと考えた。
中身はインバータICとMOS-FETの組み合わせで構成されていたが、製作後に車体に仮装着して点灯試験を行ったところ素の状態ではエンジン始動前まで正常に点滅していたものがエンジン始動後はランダムに点滅が早くなる事象に遭遇してしまい、そのままでは使えないことが判明した。
インバータICが車体のノイズを拾ってしまったと思って電源ラインにノイズ対策としてセラミックコンデンサを配置するが状況は変わらず、GPZ900Rに仮装着した限りエンジン始動後でも正常に点滅しているので相性と思って諦めた。

次に製作したのはネットで得たタイマIC NE555を使用したIC式リレー回路で、リップル対策も組み込まれた回路だった。
NE555そのものは一般的なタイマICであり、構成も単純なことからノイズ対策も行いやすいということで期待したが結果は同じくエンジン始動後に点滅が早くなる事象そのまま、思ったよりRZとの相性が悪い結果となった。

次に発想を変えてコンデンサ+マグネットリレーの構成にしてみた。
コンデンサ+リレーという構成は純正のウインカーリレーと同じなのだが、異なるのはコンデンサの電力はマグネットリレーのコイルのみに消費されるという点。
点灯させる電球側の消費電力に左右されないのでLEDだろうが電球だろうが関係ないという最もシンプルな構成となる。(点滅間隔はコンデンサでコントロールするので微調整に苦労するが…)
エンジン始動後も正常に点滅するのでリレー部分も完成かと思われたが思わぬ伏兵が潜んでいた、それはヘッドライト点燈による電圧変化。
ヘッドライトをON/OFFさせた時の電圧変化が点滅間隔に直接影響してしまい、ヘッドライトをONにした時に電圧がマグネットリレーの最低電圧を下回り点滅が止まってしまった。
エンジン回転数を2000rpm以上にすれば点滅を開始するのだが、それではLED化前の状態と変わらないので今回の製作作業は全く意味をもたない。
テスターでアイドリング時のレギュレタレクチファイアからの電圧を計測するとヘッドライトONの状態では9V〜13Vの間で電圧が上下し、12Vで駆動するマグネットリレーの下限許容値を下回っているようだ(確か下限が10Vあたり)。
同系統の製品で5V仕様のリレーもあるが、仕様書をチェックすると上限の電圧が13Vのはるか下に設定されているので実装すれば焼き切れてしまうだろう。


オーディオQのキット LF-002B

画像は基板裏側にノイズ対策のコンデンサが装着されている「ノイズ対策後」の状態だが、この蛇の目基板で半年間眠っていた。
対策確認後は配線を全てバラした上で部品配置の再構築を行った。


NE555で試作した回路

1,000円かからない部品代で製作出来る回路だが、これも残念ながらエンジン始動後は点滅が不規則に速くなってしまった。


マグネットリレーとコンデンサで構成されたリレー回路

試作と言うことで空中配線で組んでいるが、電圧が安定している車体であればこれで十分だろう。
6V車であればマグネットリレーを変更(12V→5V)するだけで対応可能なので一考に値するリレー回路だと思われる。


今では多くの情報がネットに溢れているが、当時は4st車でのLED化成功事例は検索にヒットしたが2st車のLED成功事例、それも同じ車種のRZ250では皆無に等しく高価なIC式リレーを装着した例などがヒットするのみで自作した事例が見つからなかった。
ここで完全に行き詰まってしまった。
これが2004年初秋の話、RZ250のウインカーLED化は2005年4月まで作業を凍結することに。
その2005年の4月、ウインカーリレーの件を思い出したようにネットでキーワードを変えて検索してみると一つのページに辿りつく。
ビューエル乗りの方のページだったが、内容はエンジンを始動させるまでは正常に点滅していたICウインカーリレーがエンジン始動後におかしな点滅をする…というもの。
ほぼ同じ事象と思われたので対策された情報を元に2004年に製作したオーディオQのキットとNE555のタイマリレー回路へ同じようにコンデンサを追加して再試験を行った。
反映した内容は

 ・基板の電源入力ラインにセラミックコンデンサと電解コンデンサを入れる
  (これは元の回路には既に入っていたので、電解コンデンサの容量を上げただけの処置になる。)
 ・FETのソースとグランドの間に電解コンデンサを入れる
 ・ICのVcc+ピンとGNDの間に最短距離でセラミックコンデンサを入れる

の3点だ。
NE555を使用したリレー回路はエンジン始動後に点滅が早くなる事象がそのまま再現されてしまい対策は効果が無いという結果になった。
次にオーディオQのキットLF-002Bを接続してエンジンを始動させると何事も無かったの用に正常な点滅を続けていた。
エンジン回転数を変化させてみるが点滅サイクルは一定のまま乱れない、ヘッドライトON/OFFで僅かな変化があるが無視できるレベルの点滅間隔の変化でしかない。
放置半年、ようやくウインカーLED化の目処が立った。


LF-002Bの回路図(部品の詳細は伏せます)

対策後のLF-002B回路図(赤線で囲んだ部品が追加されたもの)

オーディオQのキットの基板を車体に組み込むには防水対策を行わなければならないが、キットの基板そのままを防水ケースに入れた場合に車体に収まりきらないと思われるので純正ウインカーリレーのケースに収まるように配線を組みなおした。
また、試験中に誤ってフィラメント球をドライブさせてしまいキット付属のFETを吹っ飛ばしてしまったのでNE555回路に使用していたMOS-FET 2SJ533と交換した。
ケースは不動リレーボックスを利用することにしたが、今回は手軽に蛇の目基板のまま装着してしまい問題が出ればその時に対処すると言うことにした。
尚、基板の固定はホットメルトのみで行っている。


純正ウインカーリレーのケースに収めたICリレー回路

RZ250の純正ウインカーリレーボックスに収まるよう、部品の配置を変更したIC式ウインカーリレー回路。
MOS-FETには念のために小さなヒートシンクを追加してある。


基板の裏側

基板とケースの固定はホットメルトのみで行っている。
この状態で2年間使用したが、ホットメルトは剥がれることなく基板とケースのベーク板を固定していた。


この回路をRZ250へ装着するにあたって制限事項が存在する。
それは電源と出力の線を1本にまとめることが出来ないことからウインカースイッチとの連動がメインハーネスに手を加えずに実現できないということだ。
ウインカースイッチと電源の配線を1本にまとめる為には電流監視の回路を間に挟む必要があるのだが、リレー回路だけでノイズに悩まされたのに回路設計が出来ない私が手を入れるには到底無理がある。
苦肉の策として選んだのが乗車中は通電させっ放しにするというもの。
イグニッションキーがONになると通電する配線へ電源線を接続してしまい、ウインカースイッチへの配線はリレー回路の出力のみを接続するという内容だ。
欠点としてはウインカースイッチを操作したタイミングが点滅開始とは限らないので、点滅の「滅」かもしれないが「点」かもしれないというランダムな結果になってしまう
また、配線の数も純正リレーの2本から3本にする必要がある。
これは汎用的なICリレー回路を使っている関係で[電源(+)][出力]に加えて[GND(-)]が必要となるからだ。
RZ250のウインカーリレーは幸いにもバッテリーの隣に位置していることからバッテリーとメインハーネスが接続されるギボシ端子に割ってはいることで解決した。
装着後、近所を軽く走り回ってみたが、アイドリングから高回転時までウインカーの点滅は正常に行われており不規則な点滅・点滅停止などの問題は発見されなかった。
途中、信号待ちでヘッドライトをONにしてウインカーを点滅させたがバッテリーがヘタっているので光り方に若干のチラつきはあるが点滅サイクルに大きな変化は無い。

走行中は内部的に点滅しっ放しの回路だが点滅サイクルをほんの少しだけ早めにしたことが幸いしたのか、走行中にウインカースイッチを操作してもさほど違和感は感じず気にならなかった。
メーターボックス内のインジケータだけが電球として残っているが、LED化するほどの理由も今は見つからないのでウインカーLED化はこれでひとまず終了とした。


■ICリレーを市販のリレーに交換(2007.12)

リレー回路を製作するに至ったのはRZ250のウインカーをLED化した2004〜2005年の段階で手頃なICリレーが市場に存在せず、作るしかなかったという背景があった。(汎用的なリレーは存在することが存在したが、大型であったり価格が高価で不必要に高機能など当時の状況とマッチしなかった事もある)
2007年暮れにデイトナ・キジマといったリプレースパーツで有名な各社からLED対応ウインカーリレーが発売されているのが大阪のRZ乗りである「にえさん」のHPで知り、早速入手してみた。
選んだのはDAYTONA製のLEDウインカー対応リレー(品番:60986 3,150円)。
候補としてはもう一つキジマ製のリレーがあったが、コンパクトさと機能的に必要にして十分だと判断してデイトナ製のリレーを選んだ。
もう一つ理由があり、にえ'sガレージの管理人「にえ」さんが既に初期型RZ250へ装着して実働報告があるということだった。
最初にウインカーリレーを自作した時にエンジンを停止させている状態ならば正常に点滅するが、エンジンを始動させると点滅が不規則になった経験もあるので、実働報告は何よりも有り難い情報だった。

届いたリレーは確かに小型な製品だった。
機能そのものは単純にウインカーを点滅させるだけでポジションランプやハザードなど余計な機能は一切持たない普通のリレーだが、消費電力100Wまで対応するのでLEDから電球まで対応し、23Wクラスの電球を4個同時に点灯させることが出来ることから配線させ可能ならばハザードとしてウインカー全てを点滅させることも可能だろう。
注意すべき点として取説に「***には使用できません」など使用出来ないケースが書いてあり、簡単にまとめると「ポジション機能には対応していません」「一部のホンダ車に見られる9ピンタイプのリレーでは使用できません」などウインカーリレーが他の機能を持っている場合に使えないようだ。
また、あたりまえだがリレーはDC12V車用なので、6V車には使えないだろう。
ケースは円柱状となっており端子周りはしっかりとモールドされて水分などが内部に進入しないようになっている。
端子はRZ250/350のリレー端子と同じL字型の2極端子、製品には平型3極タイプへの変換アダプタも付属している。
この変換コネクタはRZ250/350の配線では不要なので使用しない。
必要なのはリレー本体と車体へ装着する為のゴムベルトの2点のみ。

RZ250への装着はノーマルのウインカーリレーを取り外しLED対応ウインカーリレーを純正ハーネスのウインカーリレーコネクタへ差し込むだけ。
コネクターの配線をバラして組み替えるなどの面倒な作業は一切存在しない。
リレーの固定方法は製品付属のゴムバンドを使って純正リレーが装着されていたフレームのフックへ横方向に取り付けるだけだ。
装着後はリレーのコネクタが横を向いてしまうが構造的に仕方ないので諦めるしかない。
この状態でもサイドカバー内部に収まるので洗車時の水や雨天走行中の水滴からガードされると思うが、完全にガードしてくれる保証は無いので心配な人はビニールテープや熱収縮チューブ、もしくは自己融着テープなどでガードすると良いだろう。
私の場合は大雨の中を走るのは滅多にないのでリレー端子およびソケット周辺に薄くグリスを塗って水を弾くようにしてある。

装着後に動作確認を行ってみたが幾つか気になる点があった。
一つは自作LEDバルブと自作ウインカーインジケータを使用している為か、初期の点燈動作がすぐに終わってしまい、「パッ」っと一瞬だけ点灯してから点滅動作に入ることがある。
この初期点滅が短い挙動は常に発生するわけではなく、イグニッションキーをONにした直後など条件は限られるようだ。
このリレーが通過電流を感知して動いているタイプで有れば全てをLEDにしたことによる消費電力の少なさが点灯時間短縮の挙動につながっていると推測されるので、ウインカーインジケータをノーマルのフィラメント球(ウェッジ電球)に戻すなどで改善されるかもしれない。(面倒なので試していない)
さらに気になった点として、ウインカー動作時にメーターパネルのウインカーインジケータが点滅動作の「滅」の時にうっすら光っているのが常に発生している。
右点滅時ならば右インジケータだけが、左点滅時には左インジケータだけが「滅」時にぼんやり光、ハザード点滅時には左右のインジケータが「滅」動作時にぼんやり光っている。
インジケータバルブを自作LEDバルブにしているのが原因なので、この光り方であればノーマル電球では光りもせず気が付かないはずだ。
自作リレーでは完全にゲートを閉じているので似たような挙動は発生しないが、2極端子化の関係か、電流監視の為に点滅動作を行いながらもゲートを完全に閉じない設計なのだろうと推測している。
消費電力低減ということでLED化したが、インジケータバルブには四輪がランプ切れチェッカを騙すために行っている抵抗追加などの処置を行う必要があるかもしれない。(数ワットの損失となるがノーマル電球に戻すのが一番簡単な対処)


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