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ミズホ通信 ピコトランシーバーの電池ホルダー修理

MIZUHO Pico : Repair of a battery holder

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AN-14がセットだったので落札したMX-14S。
出品者も「電池液漏れがひどい」と説明していた通り、電池ホルダーの中は腐食の青錆が電極端子を覆っていた。
外部電源ではピコトラ自体の動作を確認できたが、ハンディトランシーバーとして電池が使えないのは致命的ということで修理することにした。

ピコトラのキットを作成した人なら覚えがあるだろうが、電池ホルダーの端子はプリント基板にスプリングがハンダ付けされ、ホルダーへは両面テープで固定される構造となっている。
マイナス端子のスプリングが流用可能であればプリント基板を作成すれば良いだけ、という事になる。
調べてみるとスプリングは電解液が固まった部分こそあるものの、メッキ部分は無事で流用するには十分に良いコンディションだった。
手元にはバイクのLEDテールランプを作成したときのプリント基板で余った部分があり、元は感光基板だったが現像してしまっているのでガラスエポキシの単なる生基板状態だ。
電池基板自体はパターンが簡単なので今回は手書きパターンでエッチングすることにした。

とりあえず、ピコ14Sの電池ホルダーからオリジナルのベーク版で出来たプリント基板を剥がす。
(電池ホルダーそのものへの固着電解液などは同時に全て除去した)
本来ならハンダメッキされたパターンが見えるはずなのだが、青錆と電解液の固着でハンダすら見えない状態だ。
採寸する為にスプリングを外そうとするが、固着した電解液やらを削り落とさないとハンダコテの熱が伝わらない。
なんとかスプリングを外したが、パターンをよく見ると+と−が連結されるべき接続パターンが腐食で消えていた。


取り外された電池ホルダーのプリント基板。

ノギスで電極間の距離を測るが、非常にわかりやすい数字で並べられている。
基板は2枚有るが電池の+−の関係でパターンが違う。
(部品としての型番もMK-1154/MK-1155と違っている)
採寸が終了し、同じサイズにカットされた生基板へ罫書きを行ってレジストペンでパターン書いてエッチングを行った。
エッチングを終了後にフラックスを塗布、完全に乾いた後にスプリングをハンダ固定し、+端子もハンダメッキを行い完成。


エッチング終了後のプリント基板
スプリングを取り付け、完成した基板

あとは両面テープで電池ホルダーへ取り付けるのみだが、オリジナルのベーク基板に対してエポキシ基板では雰囲気がずいぶんと違ってしまった。
特に、ガラスエポキシ基板は半透明なので手元にあった両面テープの色が黒なことから透けて見えてしまい綺麗な仕上がりとは言い難い。
ここはベーク基板で仕上げるのが無難だったようだ。
肝心の機能は問題なく再現できており、電池の電極が大きくずれるようなことはなかった。


■後部パネルシールと電池ホルダーシールの作成

入手したピコ14Sは電池の液漏れが発生していた状態と既に書いているが、その電池の電解液で電池ホルダーの底面に貼ってあるシールにはシミが付き、後部パネルのスイッチ説明が印刷されたシールに至ってはティッシュで軽く拭いただけですべての文字が消えてしまった。

ミズホ通信へ問い合わせすれば手にはいるかもしれないシールだが、ピコトラ本体が既に生産終了しているのと、高田OMの貴重な時間を削るのも本意ではないので自作にトライしてみた。



電池の液漏れ後が残る電池ホルダー
後部パネルはシールがないとスイッチ操作に困る


手法はしごく簡単で、オリジナルのシールをスキャナで読みとってプリンタで印刷するだけだ。
スキャナはエプソンGT-7700、プリンタは最終的にエプソンE-100に落ち着いた。


◇スキャニング

まずはオリジナルのシールからデザインを持ってくるためのデータ化が必要だった。
色々な手法が考えられるが、一番簡単なスキャニングをせんたくした。
後部パネルシールと電池ホルダーシールの元は9R59カラーのピコ6Sを採用。
後部パネルはそのままスキャナ上にピコ6Sを置いてスキャニングしたが、電池ホルダーシールは一瞬悩んだ。
電池ホルダーはスキャンヘッドとシールまでの距離が1cm以上離れてしまうのでピントが合うか心配だったからだ。
まずはどの程度ズレるのかを調べるためにスキャンを一発かけたが問題なくデジタルデータ化出来ていた。
一昔前のスキャナでは無理かもしれない距離だったので技術の進歩に感謝した。
データ化出来てしまえば後はなんとかなるので一安心。
※スキャナ設定については何も考えず、24bit/300dpiでスキャンした。


◇素材選択

データ化の目処はついたが、次に問題となったのがシールとして印刷する素材。
オリジナルは後部パネルが薄いアルミシールとなっており若干の光沢がある。
電池ホルダーシールはアルミシールではないが艶が強い光沢シールだ。
耐久性を考えると印刷所できちんとインクを載せるのがよいが、今回は「何もないよりはマシ」のレベルで落ち着く予定な事から文房具やなどで普通に売っているパソコン用タックシール用紙を使用した。


◇データ加工

何とかデータ化出来たシールデザインだが、多少の加工は必要だ。
後部パネルシールについてはコントラスト調整などを行って、そのまま印刷するレベルにまで持っていけた。
作成したシールを使用する対象がサンテック製造のピコ14Sだが、好みの問題なのと完全なオリジナルに拘るわけではないので、どうせシールを作成するならと「SANTEC」の文字を「MIZUHO」にした。
電池ホルダーシールについては色々と加工してみたが、結局はスキャニング画像はトレース原稿として使い、電池の形や文字など全てを新たに書き起こした。

完成した後部パネル用シール。
MIZUHOブランドにして、OPTIONスイッチの箇所をATTスイッチにしてある。
SUNTEC製の場合は「ATT」の両側にON/OFFの文字が印刷されているが、このシールはスイッチの両脇にした。

◇印刷

最初は完全にシールとして機能しなくなった後部パネルシールから作成した。
耐水性などを考えてレーザープリンタで印刷してみたのだが、元の用紙がインクジェット用であった為にトナーが上手く乗らず少しの圧力で黒が落ちてしまった。
次に家にたまたまあったエプソンの写真向けインクジェットプリンタE-100で印刷出来るように用紙を写真のLサイズにカットして印刷したところ、そこそこ良い感じに印刷された。
ただ、本来は「真っ黒」になるべきシールが深い灰色として出てきてしまった。
最低限の目的は達成できているので、とりあえず「良し」とした。

電池ホルダーシールの印刷もE-100で行ったが、ここで用紙を替えてみた。
すると非常に艶のある光沢用紙だがインクの黒は「黒」として発色され、電池ホルダーシールは一発で印刷が完了した。

印刷された後部パネルシール 印刷された電池ホルダーシール

◇実装

後部パネルおよび電池ホルダーから元のシールを剥がし、印刷したシールを貼った。
電池ホルダーシールは貼った後に○穴が二カ所有るのでカットする必要がある。
本物のシールを比べると耐久性に乏しいと思われるが、逆に言えば何枚でも印刷可能なので対した問題ではないと思われるし、心配で有れば薄い透明なカッティングシートで保護すればいいと思う。
今回の場合、電池の液漏れで著しく見栄えが悪い状態だった電池ホルダーはエポキシ樹脂の透明性を除けば良い感じに修復できたと自負している。



元のシールを綺麗にはがす 印刷されたシールを貼る


プリント基板も貼り付け完成した電池ホルダー ピコトラに装着された電池ホルダー


後部パネルシールを貼ったピコ14S
製造番後は最初から不明だったので空白
ピコ6Sと並べた状態
色の違いがわかると思う


■後部パネルシール再作成 (2005.03.22)

一応はシールを貼って使用するのに差し支えがない状態になったピコ14Sだが、黒の発色が弱い後部パネルシールがやはり気になった。
そこで電池ホルダーシールと同じ用紙を用いて後部パネルシールの再印刷を行った。


使用したエーワンのはがきサイズ光沢シール用紙

前回の印刷で気になったのが、レーザープリンタで印刷した時のデータをE-100で印刷するとサイズが小さくなってしまっていたことだ。
普通紙でテスト印刷を繰り返した結果、元画像の解像度300dpiに対し、印刷データは315dpiにすると”だいたい”同じ大きさになった。
更に数字を詰めていけばピッタリとした大きさになるであろうが、今回はここで妥協した。
(E-100のインクカートリッジは全色一体型で黒だけが無くなっても交換、後部ラベルシールは黒しか使わないので勿体ないからという理由だ)



印刷されたシール。
スペースが余っていたので電池ホルダーシールも予備として一緒に印刷した。
今まで作成したシールを並べてみた。奥がレーザープリンタ、手前が今回のインクジェットプリンタで作成されたシール。


オリジナルのピコ6Sと並べてみた、アルミシールの光沢以外にあまり不自然さを感じないと思われる。 電池ホルダーと後部パネルの改修を終えたピコ14S、とりあえずは見ることが出来る形になった。


印刷に使用するラベル用紙もシルバー光沢用紙などを使うなどアイデアは色々とあったが今回はここで作業を終了とした。
周波数表示シールなど下地がシルバーを絶対条件とするものもあるので後日トライしてみたいと思う。


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