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ミズホ通信 ピコ6

MIZUHO 6m SSB/CW QRP TRANSCEIVER MX-6

MIZUHO MX-6

MIZUHO MX-6 ミズホ通信がそれまでの「ハンディ」という概念を大きく変えた記念すべき製品がMX-6(通称「ピコ6」)だ。
前身として1981年の夏に晴美国際展示場で開催されたハムフェアに6mDSBトランシーバーを参考出品したが、ピコ6はそのDSBトランシーバーをブラッシュアップし、SSBフィルターを搭載して1981年10月20日に発売された。

 一枚基板だったDSBトランシーバーはSSBジェネレータとコンバータ基板の2枚構成になり、輸出用CB無線用のSSBフィルターを採用していた。
小型の本体には短いながらもホイップアンテナを内蔵し、006Pの電源で250mWの出力を可能としている。
1個の水晶で50KHzをカバーするVXO方式を採用しており、Aバンド/Bバンドという切り分けで水晶が2個搭載可能になっている。

 受信部はシングルスーパー方式を採用、IF周波数はピコ6Sと同じ11.2735MHzなのでVXO用水晶はピコ6とピコ6Sで共用が可能だ。
送信部は同じ250mWのピコ6Zと比較すると1段少ない2段構成。この2段構成では無理があるのか、電源電圧がわずかでも下がると出力に大きく影響してしまい、006P乾電池を使用した運用では実質的には200mWから150mW程度の出力となり250mWでの運用が難しい。

MIZUHO MX-6 内蔵の6段式ロッドアンテナもマッチングコイルは一応装備されているもののゲインが低いので、余程の好ロケーションでなければピコ6単体で長距離通信は行えないと思われる。もう一つ、運用する上で不便なのが外部PTTが利用できない点だ。ピコ6Zではトランジスタで送受の切り替えを行っているがピコ6はシンプルなPTTスイッチによるメカニカルな切り替えのみだ。その為に外部アンテナと外部マイクを利用するときは本体のPTTを直接操作しながらマイクを持つスタイルになってしまう。
しかし、シングルスーパー方式とは言えシンプルな回路故に弱い信号などを受信しているときでも相手の声がホワイトノイズから浮いてくるような再現性の良さはピコ6から実現されている。
小高い山の上で1/4λダイポールアンテナか、AN-50などの1/4λ短縮アンテナを接続するだけで、運用中の局がガンガン入感する性能には驚く。

メーカー製のPLL搭載機が次々に発売されていたこの時期にVXOながらも機動性に富んだQRP機は自作派も注目したことだろう。
無線雑誌などでも低価格キットで本格的なSSB運用が可能と記事にしていたようだ。
ピコ6は当初キット(基板は調整済みでスイッチ類の配線のみを購入者が行うセミキット)のみで販売されていたようだが、完成品も販売されるようになりオプション類も次第に揃っていった。
主なオプションではレザーケースに外部アンテナ等の変換コネクタケーブル、それにローズキット形式ではあるが3Wリニアアンプ PB-63もリリースされた。
このピコ6は2005年初頭にYahoo!オークションで入手したもので、ワンオーナー機らしく程々のコンディション。単三電池を7本(乾電池の場合は6本)使用するピコ6Sと重さを比べると嘘のように軽いと感じる。広告にありそうな運用例の如く、ウェストバッグに忍ばせてツーリングの合間に高台などから声を出してみたいと思っている。

 ピコ6は1981年の発売から2年ほど売られていたようだが、その最後と思われる年から数えても22年の月日が経過している。
入手したピコ6もポリバリコンの交換が必要であったり、外部アンテナ端子が錆などで接触不良だったりと手を入れる必要があった。
斜陽のアマチュア無線業界では今後、このような製品が出てくる可能性は低く、貴重な本体となるので大事にしていきたいと思う。


MIZUHO MX-6 トップパネル

Sメーターなどは無く、シンプルな構成となる。
アンテナ端子がモノラルジャックとなっており、ボリュームは電源スイッチをかねてボディの横に配置されている。

ANT端子は経年変化で接触不良となっていたが接点復活剤で完治せず、部品を交換。

MIZUHO MX-6 ボトムパネル

スイッチは電源切り替えとCWキーのEXT/IN切り替えの2つ。
ジャックは外部電鍵と外部電源の2つに、ユーザーで自由に設定するオプション用が1つとなっている。
オプション用のジャックは外部マイク端子とするのが一般的だったようだが、このピコ6は無配線のままとしている。

MIZUHO MX-6 アンテナ

6段のロッドアンテナを装備しているが、短縮コイルも無い長さ40cmほどの簡易的なアンテナが内蔵されている。
250mWのQRPでは効率の良い大型アンテナが外部接続に欲しくなるところだが、この可愛らしいアンテナがピコ6らしさを演出しているとも思える。
AN-50と受信比較したが、AN-50でS感が「5」だとすると内蔵アンテナでは「1」か「2」といった感じだった。(PAN-62だと「9」)

MIZUHO MX-6 SSBフィルター

キンセキ社の輸出CB無線用SSB11MHzフィルタが採用されている。
電源にも使用されている乾電池006P程の大きさがあり、ケースを開けると大きな存在感を感じる。

MIZUHO MX-6 リアカバー側内部

SSBフィルターが顔を覗かせているが、裏となっている基板はトランスバータ基板。
ピコ6、ピコ6Z、ピコ2などはSSBジェネレータ基板とトランスバータ基板の2枚構成となっている。
電池交換の時はこちら側を開ける。

MIZUHO MX-6 フロントカバー側内部

こちらはVXOのクリスタルを交換する時ぐらいしか開けない。
背を向けている基板はSSBジェネレータ基板。



・ピコ6のオプション

初歩のラジオ1982年5月号の広告にピコ6のオプションについての掲載がある。
資料と言うにはお粗末だが、オプションは以下の内容だった。

M1:006Pタイプ ニッカド電池 \2,600
M2B:M型変換器、9V変圧器、他 \2,800
M3:レザーバッグ(手さげ付) \1,200
PB-63:ピコ6用リニアブースター(ピコブス) \6,000

これにVXO用クリスタル(当時は確か\1,500だったはず)がある。
ピコ6のクリスタルはピコ6Sと共用になっており転用可能。(ピコ6Zだけ違う)

MIZUHO
(誠文堂新光社 初歩のラジオ 1982年5月号より)


[ MX-6 取扱説明書 ]

ミズホ通信のCW/SSBトランシーバーMX-6(ピコ6)の取り扱い説明書です。
掲載にあたってはミズホ通信(株)の高田OMより承諾を得ております。

利用に関して当方では責任を負いませんし、また、ミズホ通信に迷惑のかからないようお願いします。
 また、取り扱い説明書およびファイルの著作権はミズホ通信にあります。
 業務利用や利益を伴うなど個人の趣味の範疇を超える利用に関してはミズホ通信へ確認を取るようお願いします。

 ・PDFファイルの閲覧にはアドビ社のAcrobat Reader(R) Ver.5.0以降のソフトウェアなどが別途必要です。
 ・ファイルは高解像度と低解像度の2種類を用意してあります。
 ・操作の確認やPC画面で閲覧のみの場合には低解像度版
(Low resolution)で十分です。
  印刷や回路図の詳細を調べる等の場合には高解像度版
(High resolution)をお使い下さい。


model
High resolution Low resolution

MX-6 mx-6_h.pdf
4,789KB
mx-6_l.pdf
752KB


■定格

[一般仕様]
周波数 50MHz帯
電波形式 SSB(USB), CW
使用半導体 4 IC, 4 TR, 5 FET, 16 Di
電源電圧 DC 9V
006P又はニッカド
消費電流 RX…無信号時 32mA
TX…最  大 120mA
周波数安定度 初期変動±500Hz
その後100Hz/30分(25℃)
空中線インピーダンス 50Ω
外形寸法 (W)66 x (H)39 x (D)138mm
重量 430g (電池含む)

[送信部]
最 大 出 力 250mW
不 要 輻 射 40db以下
変 調 方 式 平衡変調
搬送波抑圧比 40db以上
側波帯抑圧比   〃

[受信部]
受 信 方 式 シングルスーパー
感   度 0.5μV入力時 S/N 15dB
選 択 度 4.6KHz以下(-60dB)
中間周波数 11.2735MHz

[局発部]
発 振 方 式 可変水晶発振
出力周波数 38MHz帯


【参考】2005年より変更された申請書式の記入例
 ※自分が解釈した内容で書いているので、間違いが有った場合にはご容赦下さい。

◇「無線局事項書及び工事設計書」の記入例(表面一部)
MX-6のみ
の場合
13 電波の形式並び
 に希望する周波数
 及び空中線電力
希望する周波数 電波の形式 空中線電力
28M
3VA 4VA 3VF 4VF
W
50M
3VA 4VA 3VF 4VF
0.25 W
144M
3VA 4VA 3VF 4VF
W
緑字:電話モードのみで申請する場合に記入。
赤字:電信モードも申請する場合に記入。
青字:電話/電信モード共通の記入項目。


◇「無線局事項書及び工事設計書」の記入例(裏面)
装置の区別 変更の種別 技術基準適合証明番号 発射可能な電波の形式
及び周波数の範囲
変調方式 終段管 定格出力
(W)
名称個数 電圧
第 送信機 □取替 □増設
□撤去 □変更
(ここは空欄のまま) J3E , A1A{50MHz帯 平衡変調 2SC741 x1
8.5 V
0.25W
[装置の区別][変更の種別]には申請時に最適な内容を記入。
緑字:電話モードのみで申請する場合に記入。
赤字:電信モードも申請する場合に追加記入。

注1:技適機種ではないので、TSS株式会社への保証願い申請が別途必要。



◇「保証願書」の記入例
送信機番号 変更の種別 送信機の名称等 接続するブースタの名称等
(ブースタ等を使用している場合のみ)
附属装置の有無
(有る場合のみレ印)
取替 増設 変更
第◎送信機 MX-6   □ 有
[変更の種別]には申請時に最適な内容を記入。
緑字:MX-6のみで申請する場合に記入。


【資料】MX-6の水晶周波数

ピコトラに装着されているクリスタルは周波数しか書いていないものがある。
実際に使用してみれば周波数がわかるとは思うが、参考資料として手持ちの水晶の周波数を書いておく。
尚、MX-6とMX-6Sはクリスタルフィルタの周波数が同じ為に、同一周波数の水晶がVXO用水晶として使用可能になっている。
ミズホ通信でもMX-6S発売後はMX-6用水晶の型番はMX-6Sと同じ「6X-xxS」を使用していた。

品 番 送 受 信 周 波 数 X'talの周波数 備  考
6X-00S 50.000 - 50.050 MHz 12.92550 MHz  
6X-05S 50.050 - 50.100 MHz 12.94216 MHz  
6X-10S 50.100 - 50.150 MHz 12.95883 MHz  
6X-15S 50.150 - 50.200 MHz 12.97550 MHz  
6X-20S 50.200 - 50.250 MHz 12.99216 MHz MX-6標準装備周波数
6X-25S 50.250 - 50.300 MHz 13.00883 MHz  
6X-30S 50.300 - 50.350 MHz 13.02550 MHz  
6X-35S 50.350 - 50.400 MHz 13.04216 MHz  
6X-40S 50.400 - 50.450 MHz 13.05883 MHz  
6X-45S 50.450 - 50.500 MHz 13.09216 MHz  


・小物製作物

誰でも作れる程度の簡単なものをピコ6用に幾つか製作した。

MIZUHO MX-6

[ピコ6用DC-DCアダプタ]

手前味噌だが調整用に外部電源ユニットを作成した。
内容はピコ6Sの取説にもある三端子レギュレータにコンデンサを組み合わせただけの簡単なものだ。
ケースは単三電池を2本収納できる樹脂製のケース。

このDC-DCアダプタを製作した理由がピコ6のみ電源端子がモノラルピンジャックとなっているからだが、MX-6Sなどに使うDC-DCアダプタのプラグ(丸プラグ)からピンプラグへの変換ケーブルを製作すれば良いだけと後で気が付いた。

MIZUHO MX-6

[外部アンテナ用変換ケーブル]

出力測定用に作成したが、ミズホオリジナルの変換アダプタがMコネクタだったのに対してBNCコネクタにした。
理由は単純でパーツが余っていたから。
ケーブルは自由度を持たせたかったので1.5D-2Vを使用している。



恥ずかしい話だが、このピコ6を入手した直後は故障品だと思っていた。
その理由というのがCWでは250mW出力を確認できるのだが、SSBモードでは10mW程度しか出力が出ていないからだった。
ところがSSBモード時にCW用のキーを押すと250mWの出力となることから、ミキサ回路周りのどこかが不具合を起こしているのかと思っていた。
後日、ミズホ通信から取説をコピーして頂き、取り扱いに関する部分を読むとSSBモード時にはCWキー設定のスイッチを「EXT」にと書いてある。
「INT」にすると微弱モードとなりアンテナ調整に最適とか、内蔵のCWキーを押すと瞬間的に出力が元に戻るとか…仕様だった。
外部キーの接続を行わないから「INT」にしていたが、どうやらそれが原因で人為的不具合(仕様不理解)という結果だった。(回路図を追うと理由が理解できる)

これで大丈夫と思ったが、FT-817でピコ6の電波を受けてみると音がおかしい。
「ヒョロヒョロ」とした発信音が聞こえてくる。
ポリバリコンはおかしくなると発信することもあると聞いているので、まずはバリコンを交換してから稼働できるかどうか判断したいと思う。


バリコン交換(2005.02.03)

ミズホ通信へお願いしていた交換用バリコンが届いた。
早速、ピコ6のバリコンと交換したところ無変調時のヒョロヒョロ音が消え、とりあえず問題は解決したと思われる。
更に最初にキットから組み上げた人が無造作に残した長すぎる配線などを簡単に整理し、電源を入れてA/Bバンドでバリコンの回転により受信周波数が変化するかを確認した。
私の自宅付近は50.180MHzと50.240MHz付近に「ピー」と何かのノイズが出ている箇所があり、幸か不幸か調整時の目安として使えてしまう。
新しいバリコンのスムースな感触でバリコンを回していくと、いつもの所で「ピー」と音が聞こえてくる、とりあえずは大丈夫なようだ。


MIZUHO MX Pico ミズホ通信から取り寄せたピコ用バリコン。
FMラジオ用の2連バリコンなのだが、シャフト部分の延長がピコ用としては重要となる。
単なるラジオ用だとシャフトの部分が無かったりするので注意が必要だ。(バリコン自体の性能は20pFで2連ならば問題ない模様)


MIZUHO MX Pico 左がピコ6から取り外したバリコン。
交換用バリコンは厚みが薄くなっているがシャフト部分が少しだけ長い。(取り付けには実害無し)
オリジナルのツマミは口径が大きめで、熱収縮チューブをかぶせると”しっくり”くる。
交換用バリコンのシャフトにもこの後に熱収縮チューブを被せた。


次にFT-817を使って周波数範囲の確認を行った。
ピコ6にダミーロードを接続して漏れ電波をFT-817で受け、その周波数のままFT-817にもダミーロードを付けてピコ6へ出力は最低にして送信してみたが大きなズレは見られない。
次にラジオのスピーカーからの音声をマイクへ流し込み、ダミーロードからの漏れ電波の範囲でピコ6←→FT-817で聞くがどちらも許容範囲内の音で聞こえてくる。
以前感じた送受の周波数ズレはバリコンの劣化により「ヒョロヒョロ」している中で聞いた音だったので、おかしく聞こえたのかもしれない。(きちんと調べたわけではないので感覚的なものだが、ピコトラは送受共に同調回路は共用なので大きなズレは考えにくい)
最後に、バリコンの同調範囲がおかしくないかFT-817で50.150/50.200/50.250の3波でダミーロード接続のまま最小出力で電波を出してみるがピコ6はAバンド/Bバンドできちんと漏れ電波を受信している。
ついでにピコ6からCW波を発信して同調周波数以外に異常な波が出ていないかTH-F7の簡易グラフ表示機能で調べてみるが大丈夫なようだ。
まともな測定器もないので個人で出来るのはここまでとなるが、残りは実際に交信を行ってレポートを貰う形にして終了とした。


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