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ミズホ通信 ピコ2F

MIZUHO 2m SSB/CW QRP TRANSCEIVER MX-2F

MIZUHO MX-2F

MIZUHO MX-2F ピコシリーズの中で最後のリリースとなってしまった機種が、このMX-2Fであり発売は1994年4月頃、周波数帯は144MHz帯(2m)、送信出力は1Wとなっている。
長い販売期間を誇るピコシリーズの中で144MHz帯に対応した機種の販売期間は意外と少なく、そして短い。
ピコトラとして2mに対応した機種は初代ピコトラことMX-6の次に発売されたMX-2(144MHz帯/200mW)になり、次に対応したのが本機のMX-2F、つまり最終モデルになる。
機能的に大きく変わったのはCW運用向けにサイドトーン回路が標準装備として内蔵され、PTTスイッチを用いたフルブレークインによるCW運用がMX-2F単体で可能になっている点だろう。
また、機能としてはかわりないものの、VXO水晶の交換にフロントパネルを外す必要はなく、電池交換時のビス1本で外すことが出来るリアパネル側から可能になっている点は非常に有り難い。
MX-2は1982年4月に発売されたが流通在庫を除けば翌年には広告からも姿を消し、MX-2Fも1994年に発売されたが製造ラインを他機種と切り替えながら生産していたのか常に在庫を保証されていた訳でもなかったようだ。
また、MX-2が発売された時代はアマチュア無線も華やかさを残していたので相当数の販売実績が残る形となったが、MX-2Fが発売された1994年には時代も無線や電子工作からパソコン・パソコン通信などに流れが変わってしまい、無線そのものが華やかさを失いつつあったので販売量はMX-2ほどではなかったと聞いている。
このMX-2Fを発売した後はミズホ通信からピコトラの新製品は発表されず、2004年の事業規模縮小を迎え、事実上のピコトラ最終機種となってしまった。

MIZUHO MX-2F ボディサイズはピコトラスーパーシリーズと比較してカタログ上の奥行き(ピコトラのトップパネルとボトムパネルの間の数値)が少しだけ短くなり、初代ピコトラであるMX-6とほぼ同じ数値になっている。
幅・高さに関しては他のピコトラと同じ数値になるので、ほぼMX-6と同じボディサイズと言え、片手で持った感触はピコトラースーパーシリーズと比較してコンパクトに感じる。
右の画像は右端から AM-6X / MX-6 / MX-2F / MX-6Z / MX-15 / MX-6S の順に並んでいる。
最も小さいボディを持つのがAM-6X(MX-27RS)だが、MX-2FおよびMX-6は2番目に小さいボディサイズということになるのだろう。(MX-6Z/2/10Z/15/xxSはほぼ同じサイズ)
ただし、MX-2Fはボディサイズのみならず構成パーツの違いにより重さも軽減され、MX-6よりも軽く、AM-6Xと同じくらいに感じる。(MX-6は大型サイズのクリスタルフィルタなど個々のパーツが思ったより重く、数の積み重ねで総重量を増やしてしまっているようだ。
AM-6XはAM機種なので変調トランス以外は重量を増やす要因が少ないので軽い。)

ボディカラーは黒に近い灰色(DarkGrey)だが、塗装には光沢がありJimカラーの艶が無い濃い灰色とは色合いが違う。
また、晩年にはシルバーボディのMX-2Fも発売されたので、この機種に関してはボディカラーが2種類ということになる。

MIZUHO MX-2F MX-2Fには既存のピコトラで採用されていた小型S/RFメーターが使用されていない。
開発当時はMX-xxSシリーズの製造・販売が行われていた時期でもあったので想像できる範囲ではMX-xxSシリーズの小型S/RFメーターより単価の低い汎用品を採用したのではないだろうかと思われる。
そう思われるのはS/RFの位置こそ入れ替わっているものの、東京ハイパワー製のV/HFトライバンド機種HT-750のS/RFメーターとサイズ・デザインがほぼ同じになっていることにある。
このタイプのメーターは古くはヤエスのポータブル90シリーズ(FT-690)などでも採用されていたS/RFメーターと同じサイズでもあり、1994年当時でも入手が可能なパーツだったのだろう。
それでもMX-2F自体の価格が38,800円というバブル崩壊後の不況時には安いと言えない価格になってしまっていたのは残念な限り。
この頃にはポリバリコンも日本国内の生産から韓国など外国生産が主流になっていたりするので、様々な要因が絡んでいるのであろう。



MIZUHO MX-2F フロントパネル

スピーカーの位置が大きく下がり、Mizuhoロゴシールもデザインが変わって機種名入りでスピーカーの上に配置される。
また、ボディの横には外部電源端子も配置された。

MIZUHO MX-2F リアパネル

リアパネルは既存の構成を踏襲して1本のビスで固定されている。
このパネルと取り外すと電池ホルダー部分が見える。

MIZUHO MX-2F トップパネル

トップパネルはMX-2Fのみが持つ独特のデザインになっている。
パイロットランプは省略され、バンド切り替えスイッチやノイズブランカスイッチはプッシュロックスイッチに変わった。
ピコトラとしては大型に感じるS/RFメーターに併せて無理のないデザインとなった。

MIZUHO MX-2F ボトムパネル

外部電源端子など全てのパーツがボディの横に配置されている為にMX-2Fのボトムパネルは何も存在しない一枚板になっている。

MIZUHO MX-2F 外部電源端子部

シールの印刷が薄れてしまっているが、DC9.5Vを流しこむ為の外部電源端子がボディの横(周波数調節ツマミ側)に配置されている。
電圧・電流に関しては既存のピコトラと同じなのでPS-2やPM-1に付属のDC-DCコンバータなどがそのまま利用可能となっている。

MIZUHO MX-2F モード切り替えSWと外部スピーカー/マイク端子部

SSB/CWモード切り替えスイッチはボディの横(アンテナ端子側)に配置され、外部スピーカー/マイク/キー端子も同じ場所に配置された。
既存のピコトラと大きく違うのは、外部マイクと外部キー端子が一つにまとまっている点だろう。
しかもMX-2Fはサイドトーン回路を内蔵しているので、フルブレークインながらもCW運用を行うのに外部キーのみで既存のピコトラよりも多少は楽な運用が可能となっている。(外部キーが無くても、PTT-SWでサイドトーンを伴ったキーイングが可能)

MIZUHO MX-2F バンド切り替えSW、およびノイズブランカSW部

他のピコトラは全てスライドスイッチだったが、MX-2Fのみプッシュロック式のスイッチになっている。
スイッチそのものはMX-6や2などのPTTスイッチに採用されていた6端子2回路の汎用品。
バンド切り替えスイッチはロックした状態でAバンド、解放された状態でBバンドとなり、ノイズブランカスイッチはロックされた状態でON、解放された状態でOFFとなる。

MIZUHO MX-2F 電池ボックス部

電源には単3電池を6本内蔵するスペースが設けられている。
取説には基本的に9Vの定格となるので1.5V/本のマンガン/アルカリ乾電池の使用が前提となっている書き方がされ、ニッカド電池などの1.2V/本となる電池では7.2Vに電圧が落ちるので出力が墜ちると書いてある。
ピコトラスーパーシリーズでは1.2V電圧の電池を考慮して最大7本の搭載本数となっていたが、MX-2Fではその配慮が削られてしまったらしい。
電池ホルダー部のシールも「AM3,UM3,AA SIZE」としか表記されておらず、ピコトラスーパーに使用されていたシールと比べて素っ気ない感じを受ける。

MIZUHO MX-2F 電池ホルダー上部

MX-2FではVXO水晶の交換がリアパネルを外すだけで可能になった。
トップパネル背面に大きなスペースを占めるS/RFメーターの向こうにポリバリコンが見えるが、既存のピコトラシリーズで採用されているものと同じバリコンと思われる。

MIZUHO MX-2F PTTスイッチ部

ピコトラではじめてPTTスイッチにマイクロスイッチが採用された。
恐らくスペースの為であると思われるが、時代の流れを感じる。

MIZUHO MX-2F スピーカー/マイクとの接続部

ピコトラシリーズで最初のコネクタ接続だと思う。
既存のピコトラは外部スピーカージャックにコードが直接はんだ付けされていたので、分解整備性はこちらのほうが上であろう。
しかし悲しいかなキットでの製作からは遠く離れてしまった気もする。

MIZUHO MX-2F スピーカー/マイク部

スピーカーは既存のピコトラの中で最も薄く、最も小さいタイプが採用され、マイクも外部スピーカーマイク MS-2などに採用された小型のECMが採用されている。

MIZUHO MX-2F フロントパネルの基板

MX-2Fのメイン基板部。
電池ホルダー側に小さな基板が存在するが、主な機能はこちら側に集約されていると思われる。
ピコトラスーパーシリーズと似たような部品密集度に見えるが、よく見ると個々のパーツに小型タイプを採用しているのでピコトラスーパーシリーズと比較すると部品密集度は高くなっている。

MIZUHO MX-2F 終段トランジスタ

400MHz帯向けの無線機用に開発されたトランジスタ 2SC3101(三菱 / Vcc=12.5V / f=520MHz / Pi=0.8W / Po=3.5W)が採用されている。
メーカー製UHFハンディトランシーバーの終段としても採用されているが、モジュール化が進むUHFパワーデバイスの中で貴重なディスクリートパーツの一つとも言える。
MX-2Fでは144MHz帯で1Wのドライブを行っている。
個人的にはピコシリーズ最後の機種がパワーモジュール搭載タイプではなかったことに嬉しさを覚える。


[ MX-2F 取扱説明書 ]

ミズホ通信のCW/SSBトランシーバーMX-2F(ピコ2F)の取り扱い説明書です。
掲載にあたってはミズホ通信(株)の高田OMより承諾を得ております。

利用に関して当方では責任を負いませんし、また、ミズホ通信に迷惑のかからないようお願いします。
 また、取り扱い説明書およびファイルの著作権はミズホ通信にあります。
 業務利用や利益を伴うなど個人の趣味の範疇を超える利用に関してはミズホ通信へ確認を取るようお願いします。

 ・PDFファイルの閲覧にはアドビ社のAcrobat Reader(R) Ver.5.0以降のソフトウェアなどが別途必要です。
 ・ファイルは高解像度と低解像度の2種類を用意してあります。
 ・操作の確認やPC画面で閲覧のみの場合には低解像度版
(Low resolution)で十分です。
  印刷や回路図の詳細を調べる等の場合には高解像度版
(High resolution)をお使い下さい。


model
High resolution Low resolution

MX-2F mx-2f_h.pdf
7,494KB
mx-2f_l.pdf
1,083KB


■定格

[一般仕様]
周波数 144MHz帯
電波形式 SSB(USB), CW
使用半導体 4 IC, 24 TR, 5 FET, 37 Di, 1 LED
電源電圧 (内蔵電池時) 標準電圧 9V (7.2V 〜 9V)
単3型マンガン、アルカリ乾電池、ニッカド電池 6本
  〃   (外部電源時) 9.5V DC(安定化電源)
消費電流 RX(無信号時) 60mA
TX(最  大) 480mA
周波数安定度 初期変動±500Hz
その後100Hz/30分(25℃)
空中線インピーダンス 50Ω
外形寸法 (W)66 x (H)39 x (D)136mm
重量 330g

[送信部]
最大出力 1W
不要輻射 -60dB以下
搬送波抑圧比 40dB以上
側波帯 〃   〃

[受信部]
受信方式 シングルスーパー
感  度 0.5μV入力時 S/N 15dB以上
中間周波数 11.2735MHz

[局発部]
発振方式 可変水晶発振
出力周波数 132MHz帯

【参考】2005年より変更された申請書式の記入例
 ※自分が解釈した内容で書いているので、間違いが有った場合にはご容赦下さい。

◇「無線局事項書及び工事設計書」の記入例(表面一部)
MX-2Fのみ
の場合
13 電波の形式並び
 に希望する周波数
 及び空中線電力
希望する周波数 電波の形式 空中線電力
50M
3VA 4VA 3VF 4VF
W
144M
3VA 4VA 3VF 4VF
1 W
430M
3VA 4VA 3VF 4VF
W
緑字:電話モードのみで申請する場合に記入。
赤字:電信モードも申請する場合に記入。
青字:電話/電信モード共通の記入項目。


◇「無線局事項書及び工事設計書」の記入例(裏面)
装置の区別 変更の種別 技術基準適合証明番号 発射可能な電波の形式
及び周波数の範囲
変調方式 終段管 定格出力
(W)
名称個数 電圧
第 送信機 □取替 □増設
□撤去 □変更
(ここは空欄のまま) J3E , A1A{144MHz帯 平衡変調 2SC3101 x1
8.5 V
1W
[装置の区別][変更の種別]には申請時に最適な内容を記入。
緑字:電話モードのみで申請する場合に記入。
赤字:電信モードも申請する場合に追加記入。

注1:技適機種ではないので、TSS株式会社への保証願い申請が別途必要。
注2:自作等のリニアアンプを接続する場合は工事設計書に送信機系統図の添付が必要。



◇「保証願書」の記入例
送信機番号 変更の種別 送信機の名称等 接続するブースタの名称等
(ブースタ等を使用している場合のみ)
附属装置の有無
(有る場合のみレ印)
取替 増設 変更
第◎送信機 MX-2F ※注1  □ 有
[変更の種別]には申請時に最適な内容を記入。
緑字:MX-2Fのみで申請する場合に記入。

注1:自作等のリニアアンプを接続する場合は「接続するブースタの名称等」に記入が必要。



【資料】MX-2FのVXO用オプション水晶

ピコトラに装着されているクリスタルは周波数しか書いていないものがある。
実際に使用してみれば周波数がわかるとは思うが、参考資料として手持ちの水晶の周波数を書いておく。
※斜体の表記周波数は計算式から割り出したものとなるので参考情報として扱って欲しい。

品 番 送 受 信 周 波 数 X'talの周波数 備  考
2X-00F 144.000 - 144.050 MHz UN  
2X-05F 144.050 - 144.100 MHz UN  
2X-10F 144.100 - 144.150 MHz UN  
2X-15F 144.150 - 144.200 MHz 14.76587 MHz MX-2F標準装備周波数
2X-20F 144.200 - 144.250 MHz 14.77143 MHz  
2X-25F 144.250 - 144.300 MHz UN  
2X-30F 144.300 - 144.350 MHz UN  
2X-35F 144.350 - 144.400 MHz UN  


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