ミズホ通信 ピコ21S
MIZUHO 15m SSB/CW TRANSCEIVER MX-21S
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MX-21S(ピコ21S)はMX-6Sが発売された翌年の1983年に7MHz帯のMX-7S(ピコ7S)と1ヶ月違いで発売されたHF帯ピコトラスーパーシリーズの第1弾となる21MHz(15m)モデルだが、出力はMX-7Sと同じ2Wにアップされ、VXOの可変幅は技術的な理由によりMX-6Sと同じ50KHzとなっている。
このMX-21SはHF帯のピコトラSシリーズではリファレンス的な機種として位置づけられ、MX-14SやMX-18SなどのピコトラはMX-21Sをベースに製品化されたとも言われている。
また、ピコトラが生産を完了するまでMX-6S/MX-7Sと共に継続生産機種として長期間販売された機種の一つでもあり、代理店を通して海外でも販売されていたので中古品などで出会う確立も高く、入手は比較的容易な部類と思われる。
MX-21Sが発売された当時は雑誌などで「21MHzはHF帯初心者に最適」などと紹介することが多く、実際にHF初心者が多かったのも15mバンドだった。理由は交信相手に困らないが7MHzほど混雑もしておらず、波長が40m→15mとなることからアンテナの設営も7MHzと比較してコンパクトに収まる上にコンディションがよければ海外とのDXも可能という中間的な条件だったからだろう。
この頃はまだアマチュア無線業界に華やかな雰囲気があり、電話級・電信級ユーザーをターゲットにコンパクトなボディにPLLを搭載して3.5MHz〜29MHzまでカバーするものが10万円を切る低価格で新機種として次々に発売されてはいたりもした。
しかし、HF帯のメーカー製無線機は固定機のみがリリースされる状態でもあったので、ポータブル向けとなるとメーカー製のリグでは皆無に等しかったことから単三乾電池で2Wの出力を絞り出せるMX-21Sの登場はYM/OMを問わず貴重な存在でもあった。
また、初期投資が少ないことからコツコツと小遣いを貯めてMX-21Sを買う小学生や中学生もいたようだが、既に固定機を持っているOMが移動用としてMX-21Sを買うケースが圧倒的に多かったと聞く。
それ以外にも基板調整済みではあるもののスイッチ類への配線を自分で行うセミキット形式な点に惹かれた人が、アクセサリを作るような感覚で購入したり、非常にコンパクトなサイズなのでサブ機種というよりはシャックのアクセサリ的な感覚でで買うなど様々だったらしい。
専用のオプションとしてVXO水晶の他に10Wにパワーアップするリニアアンプ[PL-21S]、近距離通信用ロッドアンテナの[AN-21]が用意され、他のピコトラと共通のオプションとしてCW運用時のセミブークイン・サイドトーン機能を提供する[CW-2]に本格的な移動運用向けのワイヤーダイポールアンテナ[DP-A45][DP-A458]が用意されていた。
AN-21に関しては延長コイルが入った単一型アンテナとなるが、共振するには大きさが足りないので強力に入感する局を見つけても相手にこちらの電波が届かない状況がほとんどだ。
シンプルな見た目で期待すると悲惨な目にあうので、成果を上げたいのであればダイポールアンテナなどのような本格的なアンテナを用意したほうがいいだろう。
コンパクトなボディを活かして手軽に運用するイメージを持っていた人からすれば違和感を感じるかもしれないが、HF帯である以上はアンテナに対して最低限の要求が発生するのは仕方がないのだろう。
MX-6Sが本体+AN-50で「そこそこ」交信できるのは波長が短いVHF帯ならではの利点とも言える。
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トップパネル部
ピコ6Sやピコ7Sと比較しても「15m」「MX-21S」の文字以外とVXO調節つまみの文字盤以外は区別がつかない。
画像はJimカラー機種のパネルなので文字が橙色ではなく灰色となっている。
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フロンカバーを開けた状態
基板はジェネレータとコンバータが一緒になった1枚基板となっている。
しかもMX-3.5SからMX-6Sまですべて共通の設計となっており非常に完成度が高い。
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終段トランジスタ
終段には2SC1947が採用されている。
この終段もピコトラスーパーシリーズで共通となっている。
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専用クリスタルフィルタ
ミズホ通信がピコトラ専用品として生産した11.2735MHzのクリスタルフィルタ。
非常に小型設計となっており、一時期ではあったが秋葉原などでも部品単位で流通した。
ピコトラの製造終了はこのクリスタルフィルタとミキサICのSN16913Pが入手困難になったからと言われている。
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[ MX-21S 取扱説明書 ]
ミズホ通信のCW/SSBトランシーバーMX-21S(ピコ21S)の取扱説明書です。
掲載にあたってはミズホ通信(株)の高田OMより承諾を得ております。
利用に関して当方では責任を負いませんし、また、ミズホ通信に迷惑のかからないようお願いします。
また、取り扱い説明書およびファイルの著作権はミズホ通信にあります。
業務利用や利益を伴うなど個人の趣味の範疇を超える利用に関してはミズホ通信へ確認を取るようお願いします。
・PDFファイルの閲覧にはアドビ社のAcrobat Reader(R) Ver.5.0以降のソフトウェアなどが別途必要です。
・ファイルは高解像度と低解像度の2種類を用意してあります。
・操作の確認やPC画面で閲覧のみの場合には低解像度版(Low resolution)で十分です。
印刷や回路図の詳細を調べる等の場合には高解像度版(High resolution)をお使い下さい。
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■MIZUHO MX-21S 定格 |
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[一般仕様] |
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周波数 |
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21MHz |
電波形式 |
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SSB(USB), CW |
使用半導体 |
(キット) |
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4 IC, 9 TR, 6 FET, 33 Di |
〃 |
(完成品) |
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4 IC, 13 TR, 6 FET, 37 Di |
電源電圧 |
(内蔵電池時) |
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8.4V 〜 9V DC |
〃 |
(外部電源時) |
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9V DC |
消費電流 |
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RX…無信号時 70mA
TX…最 大 620mA |
周波数安定度 |
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初期変動±500Hz
その後100Hz/30分(25℃) |
空中線インピーダンス |
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50Ω |
外形寸法 |
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(W)66 x (H)39 x (D)142mm |
重量 |
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590g (電池含む) |
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[送信部] |
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最大出力 |
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2W |
不要輻射 |
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-40dB以下 |
搬送波抑圧比 |
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40dB以上 |
側波帯 〃 |
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〃 |
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[受信部] |
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受信方式 |
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シングルスーパー |
感 度 |
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0.5μV入力時 S/N 15dB以上 |
中間周波数 |
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11.2735MHz |
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[局発部] |
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発振方式 |
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可変水晶発振 |
出力周波数 |
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32MHz帯 |
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ピコ21S本体のみでJARL認定を受ける場合
(ピコ21Sの取り扱い説明書より抜粋、電波形式などは旧表記のままとなる)
周波数の範囲
電 波 の 形 式
空 中 線 電 力 |
21MHz帯
A3J ※
2W
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変 調 の 方 式 |
平衡変調 |
終 段 管 の
名 称 、個 数 |
2SC1947 × 1 |
電圧、入力 |
8.5V 4W |
JARL 登録番号 |
MK-13 |
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※:電信モードも申請する場合はA1Aも記入。 |
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