MX-10Zは1983年に発売された28MHz帯SSB/CWトランシーバーだ。既にMX-6Sもリリースされてピコシリーズは新しい世代に移り変わろうとしていたが、記憶の限りではピコトラシリーズで初の28MHz機となる。 終段トランジスタに2SC2053が採用されており出力は300mWと小さく、SSBジェネレータ基板とトランスバータ基板が別々になるなど設計のベースはMX-6ZもしくはMX-2と思われる。 しかし、ピコトラSシリーズの存在や0.3Wという少ない出力よりも28MHz帯という幅広いバンド割り当てに対して運用する人が他バンドと比較して少なめなどの理由から、他のピコトラと比較すると売れた機種とは言えないようだ。この時代だと初心者は50MHzか21MHzでの運用が雑誌などで紹介されており、28MHzはどちらかというと馴染みのないバンドでもあったのかもしれない。本来ならHF帯の飛びにVHF帯の手軽さを備えた魅力的なバンドのはずなのだが… MX-10Zは半完成品のキットであるMX-10ZKと、完成品のMX-10ZBの2種類が販売されていた。所持している取説にはオプションとしてVXO用水晶の他に、超小型ポケットアンテナのSP-10、外部スピーカマイクのM-4、変換プラグ・電圧変換の2M-2、それにMX-6用のオプションであった006Pニッカド電池が記載されているのみだ。
[ MX-10Z 取扱説明書 ] ミズホ通信のCW/SSBトランシーバーMX-10Z(ピコ10Z)の取扱説明書です。 利用に関して当方では責任を負いませんし、また、ミズホ通信に迷惑のかからないようお願いします。 ・PDFファイルの閲覧にはアドビ社のAcrobat Reader(R) Ver.5.0以降のソフトウェアなどが別途必要です。
【資料】開局申請について 取説には開局申請として以下の内容が記されている。
|
◇「無線局事項書及び工事設計書」の記入例(表面一部) |
MX-10Zのみ の場合 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
緑字:電話モードのみで申請する場合に記入。 赤字:電信モードも申請する場合に記入。 青字:電話/電信モード共通の記入項目。 |
◇「無線局事項書及び工事設計書」の記入例(裏面) |
装置の区別 | 変更の種別 | 技術基準適合証明番号 | 発射可能な電波の形式 及び周波数の範囲 |
変調方式 | 終段管 | 定格出力 (W) |
|||
名称個数 | 電圧 | ||||||||
第 送信機 | □取替 □増設 □撤去 □変更 |
(ここは空欄のまま) | J3E , A1A{28MHz帯 | 平衡変調 | 2SC2053 x1 |
|
0.3W |
[装置の区別][変更の種別]には申請時に最適な内容を記入。 緑字:電話モードのみで申請する場合に記入。 赤字:電信モードも申請する場合に追加記入。 注1:技適機種ではないので、TSS株式会社への保証願い申請が別途必要。 |
◇「保証願書」の記入例 |
送信機番号 | 変更の種別 | 送信機の名称等 | 接続するブースタの名称等 (ブースタ等を使用している場合のみ) |
附属装置の有無 (有る場合のみレ印) |
||
取替 | 増設 | 変更 | ||||
第◎送信機 | □ | □ | □ | MX-10Z | □ 有 |
[変更の種別]には申請時に最適な内容を記入。 緑字:MX-10Zのみで申請する場合に記入。 |
【資料】MX-10ZのVXO用オプション水晶 ピコトラに装着されているクリスタルは周波数しか書いていないものがある。
|