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RZ250 (2009/12)
腰下交換

クランクケースから聞こえてくるカタカタ音に対する処置として5月にクランクケースを割って交換できるベアリング部分は交換、それ以外は稼動チェックを行った腰下だが、組みつけてみると処置前よりはやや静かになっていたものの気になる異音が響いていた。
その後、6月に近所を一度だけ乗ったが、それ以外は12月までガレージで保管されるだけの状態だった。

前回、クランクケースを割って各ギア周りなどを確認した結果と聞こえてくる異音の場所などから素人判断ながらもクランク本体に問題があるというのが最終的な見解。
また、数値は記録していないものの、クランクコンロッドの先端部(ピストン側)を持ったときに思ったより横方向に動く感触だったので、振れ幅が規定値オーバーとなっている可能性も高い。
それ故に6月に乗ったときも高回転は回さず、また、以降は乗る気になることも無かった。
このままではマズいので場当たり的対処「予備の腰下と丸ごと交換」に踏み切る。

予備エンジンは2基ある。
どちらも250シリンダとセットで保管されているが、1基はオイルポンプの不良で走行中に焼きつく寸前の抱きつき状態で停止した経緯がある問題ありのシリンダだ。(当然、オイルポンプは装着されていない)
もう1基は1987年に購入した車体のエンジンとなっており、こちらはオイルポンプも正常、シリンダも実走16,000kmの状態で保管されている。
しかし、10年前に回転が吹け上がらないトラブルで曖昧な記録のまま腰下を交換したり、クランクケースを割ったりしてしまったので保管されている組み合わせが本当に記憶どおりか、いや、その記憶さえも怪しいものとなってしまっている。
今回の予定は6月に軽く点検したオイルポンプ無しのクランクケースをそのまま積み込み、シリンダやピストンなどは現行搭載のエンジンから移植して実走した上で状態を確認しようという内容だ。
幸いにも5月の作業時に作業のリトライが可能なようにシリンダヘッドガスケット、シリンダベースガスケット、ピストンピンのクリップは1セット余分に発注していたので即座に作業にかかれる。

週末、半年振りにRZ250のバイクカバーを外して各種ロックを解除する。
ガソリンタンクのホースはキャブから切り離しているのでクランクケースがガソリンまみれになる心配はないがキャブ周辺からベンジン臭が…どうやらフロート室の僅かなガソリンが変質している?、考えてみればコイツにガソリンを給油したのは1年前かも…ということはガソリンタンクの中の燃料も怪しいかもしれない。
外装パーツを外し、純正チャンバ・キャブレタ・ラジエタなどエンジンをフレームから下ろすのに邪魔なパーツを外していく。
それまで搭載していたエンジンをフレームから降ろし、ガレージの置くにあるキャビネット(但し、園芸用w)からオイルポンプ無しの予備エンジンを引っ張り出してシリンダ移植の準備に入ったところで手が止まった。
このクランクケース、保管時はキャビネットの段の関係でシリンダを外して保管されていたのだが、クランクを錆させない為に詰め込んでいたウエスがオイルまみれになっており、しかもクランクシャフトはオイル漬けになっていた。
「10年前の自分は気が利いているなぁ」と感心したのは0.5秒だけ、即座に疑問が沸き起こる。
半年前にクランクケースを引っ張り出して軽く様子見した時はクランク室にオイルは無かったし、キャビネットに格納する時にオイルは入れていない。
しかも目の前にあるオイルは小麦色のオイルだが、2stオイルはヤマハ純正オートルーブスーパーがデフォ、高価なオイルは少しだけ使ったことがあるが勿体無くてクランクの錆止めに使ったりしないので考えられることは一つ「ギアオイル」…
オイルレベルゲージを外してギアオイルが入っているか確認するがギアオイルは一滴も付着しない、ということは0.3L以下だということだろう。

結論、クランク室とミッション室の間にあるガスケットが抜けている。

一次圧縮が抜けていることからマトモに走らないと思われるのでフレームに載せる訳には行かない、ケースを割って液体ガスケットの再塗布が必要だ。
クランクの素性が問題ないと判明しているのならばケースを割ってでも使うメリットがあるが、今回は2基の予備クランクケースがどちらともコンディション不明となってしまっているので工数をかけても無駄に終わる可能性も高い。
予定変更、もう1基ある予備クランクケースを使用することにした。
こちらには1987年購入のRZ250シリンダとオイルポンプが装着されている、正確にはシリンダとクランクケースカバーは同じセットと言えるシロモノだろうか。
キャビネットから降ろしてシリンダを外しにかかるが、シリンダボルトは仮固定のようで規定トルクから遥かに緩い締め具合で保管されていた。(腰下は信用できないことにかわりない)
シリンダ・ピストンを外してクランク室内の確認を行うが、不要なオイルなどは無く、キャブレタから流れ込んだガソリンや混合気の残りが変質して残っているようでもなかった。
マグネットローターを手で回してみるがミッション部分からは嫌な音は聞こえてこないし、コンロッドの横ブレを手で簡単に行ってみるが降ろしたエンジンのコンロッドよりはブレ幅が少ないように見受けられる。
これはイケると判断、早速フレームに積む。
降ろしたエンジンからシリンダ・シリンダヘッド・ピストン・ピストンピン・ベアリングなど腰上一式を移し、トルクレンチを使って規定トルクの下限でシリンダボルトをヘッドに記載された順番どおり丁寧に締め上げていく。
クランクケースとフレームのマウントボルト、シリンダボルトをトルク管理しながら二度締めしたところで午後6時、外は暗くなっているし7時過ぎから用事があったので本日の作業は終了、純正チャンバー・キャブなどを仮止めして引き上げた。

次にガレージへ立つことができたのは1週間後の土曜日。
前回の日曜日は土曜の夜から日曜の朝までコースの深酒が影響して復活できたのは午後4時、そのまま翌週送りとなっていた。
残りの作業項目であるラジエターなどの水周りの組み付け、クランクケースカバーの移し、各種ワイヤーの配線など3時間あれば完了するつもりでいた。
時間に余裕があることからフレームの塗装剥げのタッチアップを行い、更にラジエターフィンの曲がりを修正。
冬場はオーバークールになりやすいサーモスタット無しの初期型エンジンだが、それでもラジエターコアのフィンが曲がっていてはトラブルの元となってしまう。
修正を終えたラジエターをフレームに装着して残るはクランクケースカバーの移植で終わり…のはずがフレームに搭載したエンジンのクランクケースカバーを外すと見えてきたのはクラッチプレートが無いクラッチボス、クラッチプレートも下ろしたエンジンから移してクランクケースカバーの移設は終了。
仮設置してあったキャブやチャンバーの増し締めを行い、各種ワイヤリングを行って基本的な作業は終了。

ガソリンタンクを積んでキャブにガソリンを送り込み、イグニッションキーをONにしてスタータをキック…してもシリンダに火がつかないのでチョークを引いて再度キックするとエンジンに火が入った。
が、排気音がいつものリズミカルな音ではなく、バランスの悪い鈍い音が響く。
アクセルグリップを少しだけ煽って30秒ほど2000rpmあたりをキープし、チョークを戻すとアイドリングがストップしてしまう。
再びキックしてエンジンを始動させるが、チョーク引きっぱなしの状態にもかかわらずアイドリングし続ける…記憶が正しければ30秒もすると混合気が濃すぎてアイドリングしなくなるはずなんだが…
更に左右のチャンバーから吐き出される排気煙の温度が明らかに違い、右側は暖かいが左側は冷たいままだ。
プラグがかぶってしまったと思い、左右プラグを点検するがガソリンまみれとなっていない…
プラグを元に戻して幾つかの確認を行ったが、以下の通り。

・チョークを引いている間は左シリンダは正常に爆発するが、チョークを戻すと爆発がとまる。
  →シリンダ部は点火に成功するので問題ないと推測
・アイドル回転を2000rpmに調節した状態で左プラグコードをプラグから外しても回転が変わらない。
  →明らかに左シリンダは不発
・プラグおよびプラグコードを左右交換してエンジンを始動させても状況は変わらず。
  →コイル〜プラグの電気系は問題なし
・左チャンバーのアフターファイアが全く無い
  →生ガスそのものがシリンダに送り込まれていないと推測

この結果から判断されるのは、ガソリンを気化するキャブレタが何らかの理由で混合気をシリンダへ送り込めていない…(チョーク引くと点火されるので、リードバルブも問題なしと推測される)、よってシリンダ側は正常に動作しているはずだ。
キャブをバラすには夜も遅くなっていたので翌日の日曜日にして土曜日は終了。

日曜日は左キャブレタの分解清掃から始まった。
予想ではスロージェットが何かで詰まっているか、フロートが固まってしまい油面が下がったままのどちらか。
フロートボディを外したキャブレタの中は謎の緑色の物質がこびりついていた。
そしてスロージェットの穴をチェックすべく、空に向かってキャブをかざしてみると…まーったく光が見えない、何かが詰まってガソリンが吸い上げられない状態だった。
「何か」は明白、フロート室に残ったガソリンが変質して固形化したもの。
メインジェットも微妙に変質したガソリンでジェット口を狭くしており、爪楊枝や極細ワイヤーなどを駆使してスロージェットとメインジェットのガソリン経路を確保。
フロートはピン部分が綺麗なままで動きに支障は無く、左シリンダ不発の原因はスロージェットの詰まりだった。
RZのキャブはチョークを引くと別系統でガソリンが供給される仕組みとなっている。
だからアイドルし続けていたし、生ガスがチャンバーまで送り込まれないのでアフターファイヤも発生しなかった。
念のために右側キャブも分解清掃(こちらは変質物質なしで綺麗だった)し、左右キャブを取り付けてエンジンを始動させると一発で点火、左右シリンダ共に正常な爆発を行って普通にアイドリングし続けた。

肝心のクランクケースの音だが、全体的にジャラジャラしたノイズ音が大きめに感じるものの降ろしたエンジンのように特定の音だけが飛び出て聞こえることは無い。
テスト走行しながら見極めするしかないが今回の腰下は使えそうだ。
ガソリンタンクに入っているガソリンは一年まえのものなので全て抜き、GPZ900Rから抜いた洗浄用のガソリンを3L程度投入して近所のガソリンスタンドまで給油ついでに試走してみた。(壊れても押して歩いて帰ることができるギリギリの範囲)
往路は久々に稼動する腰下のことも考えて3000rpmあたりでゆっくり、ゆっくり走り「急」のつく動きはご法度。
復路は水温が上がっていることと、往路で異常の前兆も感じなかったことから一瞬だけ上の回転を使ってみたが問題なし、というよりは予想以上にスムースに加速するのでヘルメットの中の顔がニヤけてしまった。
今では絶対速度が大して出ない鈍足バイクだが、加速フィーリングの気持ち良さは現在も魅力的だ。

1速〜6速、1000〜8000rpm、本当のフル加速は行っていないものの心配されていたクランクの歪みは無い腰下だったようだ。
年明けには降ろしたケースの片方からクランクを取り出して修正に出す予定だが、それまでのつなぎとして十分かと思うので、年末・年始に時間を作って慣らし運転を重ねようと思う。


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