西無線研究所 NTS-200
2m SSB HANDIE TRANSCEIVER
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以前から噂には聞いていた西無線研究所のトランシーバーを偶然にも入手できた。パッと見はミズホ通信のピコトラに似ているのだが、まじまじと見ていくとマニアック臭がプンプンする無骨な無線機だった。
周波数可変方式はVXOを採用しているが、144.150〜144.250の100KHzのみとなりミズホ通信のピコトラのような水晶差し替えによる周波数の変更は念頭にない設計となっている。周波数可変幅は100KHzだが、A-BANDとB-BANDと2つに分かれており、BNCコネクタ近くのトグルスイッチでA-Bを切り替えている。1VXOで50KHzというあたりはピコトラと全く同じだ。
Sメーターも端子こそあるもののユーザーがラジケーターを別途用意する手法をとっている。そのかわり、BNCコネクタそばのLEDが面白い使われ方をしており、受信時は信号強度に応じて明るさが強弱し、送信時も声の大きさ(=出力)に応じてLEDが強弱に光る仕組みだ。これはメーターこそ無いモノのS/RFメーターとして機能しているので実際の運用でも便利だと思う。
RITも装備しているがピコトラのVRのようにセンターロック式ではなく、電源兼ボリュームと同じ形式のVRを採用しているので一番左へ回しきり「カチ」と音がしたらRIT-OFFとなる。
周波数の調整はTUNEで行うがピコトラのようにバリコンを使用しておらずVR(可変抵抗)となっている。トップパネルの印刷を見るとVRの可変幅いっぱいの範囲で50KHzをカバーしているかと思えば、全体の8割程度しか使っていない。(印刷そのものは40KHz分しかないので、文字だけなら7割程度)ダミーロード接続されたNTS-200から送信を行って他のRigで送信周波数を確認するとA-BANDで144.140〜205、B-BANDでは144.195〜144.260あたりまでをカバーしている。おおよそ65KHzの可変幅という感じだろうか。
PTTスイッチも大型でカチリとクリック感の強いタイプを採用しているので送受切り替えが気持ちいい。その反面、トップパネルのツマミが窮屈に感じてしまいPTT以外の操作を行うときにはフラストレーションも大きい。
それとスピーカーも非常に小型な製品を採用しているからか、比較対象としているピコトラSシリーズと聞き比べると音の通りが悪い、聞き疲れしやすい音になってしまっている。スペースの都合だと思うが残念な点だ。
また、電源に関しても単3電池を6本収納するスペースしか設けていないので、ニッケル水素などの充電式電池を使用すると仕様電圧の9Vから遠い7.2Vになってしまう。個人的にはニッケル水素やニッカド電池で満充電してから出かけるのが好きなので内蔵バッテリーは乾電池だけになってしまうのは残念だと思う。
NTS-200は144MHz帯/1WのSSB/CW(OPTION)トランシーバーとして1992年に発売されたが、1994年にはミズホ通信からも同じ終段管を採用した1WトランシーバーのMX-2Fが発売されている。詳しくは知らないが、西無線研究所とミズホ通信の間で連携があったらしく無関係ではなさそうだ。(MX-2Fを持っていないので比べることもできず、詳細は不明)
2005年現在、西無線研究所ではPLL方式になったNTS210(144MHz)とNTS710(430MHz/製造は終了)がオフィシャルサイトで公開されている。値段もマニアックな数字に近いが日本の数少ない小規模開発のメーカーなので長く続くことを願いたい。
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トップパネル
PTTスイッチ以外の操作系は全てトップパネルに集中している。
Sメーターは装備されていない(オプション)だが、赤LEDが送信時はRFメーター、受信時はSメーターの役割を果たしている。(信号強度が強くなると明るく光る)
右下の[SMT]はオプションのSメーターを装着する端子、市販のラジケータなども使える。
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トップパネルから
PTTスイッチは横に配置されている。
マイクロスイッチを採用しているのか、感触はピコトラと大きく異なる。
その他の操作系は全てトップパネルに集中してる。
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ボトムパネルとスピーカー/マイク部
スピーカーの上に内蔵マイクが取り付けられている。
(画像ではスピーカー左上の小さな丸)
ボトムパネルにはシリアルなどを示すシールが貼ってあるだけだ。
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電池カバーを開けた状態
カバーの固定方法はミズホのピコトラSシリーズと同じだ。
また電池ホルダーの作りも全く同じ。
この辺はピコトラの影響が非常に強い部分と思える。
但し、電池は6本しか収納できないのでNiMH電池などでは電圧が足りない恐れがある。
DC外部電源ジャックはPTTスイッチの反対側に装備されている。
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メイン基板
左側にある4連の水晶がフィルターとなっている。
全体的に部品が小型化され、洗練されたイメージが強い。
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(たぶん)終段トランジスタ
付属の取説には明記されていなかったが回路図を見る限りこのトランジスタしか考えられないので終段管と判断。2SC3101、3W以上/〜520MHzの特性を持つパワートランジスタ…のはず。(他の個人サイトなどでも2SC3101が終段管になっている)
発熱対策はシャーシをヒートシンクとする手法をとっており、ハンダで物理的に接続されている。
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■定格 |
[一般使用] |
周波数範囲 |
144.15〜145.25 |
電波形式 |
SSB(USB)、CW(オプション) |
電源電圧(内蔵電池時)
〃 (外部電源時)
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9V DC
単3×6本
9V DC
RX…無信号時 約35mA
TX…最 大 700mA |
空中線インピーダンス |
50Ω |
外形寸法 |
(W)65 x (H)38 x (D)142mm(突起物除く) |
重 量(自主計測) |
約495g(電池・アンテナ含まず) |
[送信部] |
最大出力 |
1W |
不要輻射 |
0.1mW以下 |
搬送波抑圧比 |
40db以上 |
側波帯 〃 |
〃 |
[受信部] |
受信方式 |
シングルスーパーヘテロダイン |
感 度 |
0.2μV入力時S/N10db以上 |
発振方式 |
可変水晶発振(VXO) |
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